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膝関節内骨折の後療法におけるCPMの使用

  • Kojiro Araki
  • 2016年9月9日
  • 読了時間: 3分

Point

・膝関節内骨折術後に使用するCPMの効果を検証した

・CPM使用の有無に関わらず術後2週,6週,3ヶ月,6ヶ月での膝ROMは同様

・CPMを拒否する患者も多く,結果をみてもCPM使用の利益は無い.

◯引用元

◯背景

 大腿骨顆部骨折や脛骨高原骨折などの膝関節周囲骨折は解剖学的整復,強固な固定に加え,術後に膝関節ROMを獲得することが必要である.骨折後の膝関節ROMに関する過去の報告では,大腿骨遠位部が平均107度,脛骨高原骨折が平均105度であり,通常のADLで必要とする135-145度と比較すると制限されている.Continuous Passive Motion(CPM)はTKA後に使用されることが多いが,最近のメタアナリシスでは術後の成績に影響しないことが報告されている.膝関節内骨折に対してCPMを使用した比較研究は存在しない.そこで,本研究の目的は膝関節内骨折の術後においてCPMの効果を明らかにすることである.

◯方法

 適格基準:18歳以上,受傷前歩行可能だった者,手術が必要な膝関節面を含む骨折

 除外基準:多発外傷,開放骨折,コンパートメント症候群,神経損傷,膝疾患の既往

上記の基準を満たす40名を対象とし,CPM群とNo CPM群にランダムに割り付けた.

48時間以内で標準的理学療法とCPM(CPM群のみ)を開始,評価は術後48時間,2週,6週,3ヶ月,6ヶ月に実施した.評価項目は膝関節自動ROM(extension lag〜最大屈曲), Lower Limb Outcomes Questionnaire, Short Musculoskeletal Function Assessment (SMFA). 加えて合併症の有無も記録した.CPM群はCPMを20度刻みで漸増させ最大120度まで行ない,理学療法以外は基本的にCPMを実施した(術後48時間まで).

◯結果

 最後までフォローアップが可能だった者はCPM群16名,No CPM群14名.CPM群に割り付けられた6名は疼痛や不快であることからCPM実施を拒否した.本研究はITT解析を用いているので,実施を拒否した症例も併せて解析した.

 術後48時間ではCPM群がNo CPM群と比較して有意に膝関節ROMが大きかった(平均39度大きい).術後2週,6週,3ヶ月,6ヶ月では両群に有意な差はあるとはいえなかった.機能成績は両群でどの時期でも同様だった.合併症はCPM群で創感染3例,No CPM群で肺塞栓,膝関節拘縮(麻酔下授動術)それぞれ1例だった.

◯考察

 骨接合術後にルーチンでCPMを使用することは膝関節ROMの拡大を目的として実施されることが多いが,その効果を検討した報告は本研究が初めてである.本研究では術後48時間CPMを使用したが,CPM使用時間や頻度に関して根拠が乏しく,適切であったかは不明である.CPMの使用は通常の理学療法に加え125ドル必要であることを考えると費用対効果は低いと言わざるを得ない.DVT or PE予防や関節拘縮予防としてCPM使用を推奨している報告もあるが,本研究では統計学的パワー不足のため結論を出せない.

◯結論

 術後48時間ではCPMを実施すると膝関節ROMは改善するが,そのAdvantageは保たれず,2週以降はCPM実施の有無に関わらず同様のROMであった.膝関節内骨折術後でルーチンにCPMを使用しても理学療法単体と比較して利益が得られる訳ではない.


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